〔あおき葬祭コラム〕第67回:法事の種類を知りたい! 代表的なものと行う理由

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム

仏教では、亡くなった人を悼み、またその行く末が幸せなものであるようにと祈るための儀式として「法事・法要」があります。

今回はこの「法事・法要」を取り上げつつ、喪中と忌中の違いについて解説していきます。

<法事・法要の意味とは>

法事・法要は、故人を悼んだり、その行く末が平らかなものであることを祈ったり、故人のために追善をしたりすることを目的として行われる儀式をいいます。

厳密には、法事は「法要を行った後に食事をとるところまでを含めた儀式」をいい、法要は「ご僧侶にお経などを唱えてもらう宗教的儀式」を指すとされています。ただこの2つの使い分けはそれほど厳密なものではなく、「法事・法要」とまとめていわれることもあります。ここでも「法事・法要」として解説していきます。

法事・法要は、残された人たちが故人のために行うものです。故人のためにお経をあげるのも供養のやり方のうちのひとつですが、故人を愛していた人たちで集まって故人の思い出話をすることもまた供養のひとつだといえるでしょう。また現在では、「家族や親族が集まるためのきっかけ」としてとらえられることもあります。

なお、「法事・法要」という言葉は、厳密には仏教だけのものです。そのためここでも特筆しない限りは仏教に限ってお話しています。しかし仏教の法事・法要にあたる性質を持つものは、ほかの宗教でも見受けられます。

たとえば仏教の四十九日法要に近い性質を持つものとして、神道では「五十日祭」がありますし、キリスト教では30日目に行われる「追悼ミサ(カトリック)や記念式(プロテスタント)があります。また、神道では「一年祭」がありますし、キリスト教でも召天記念日などが行われます。

このように、「法事・法要」という名称ではなかったとしても、ほかの宗教でも故人が旅立った後に集まる機会が設けられる機会はあるのです。

※なお現在は、神道やキリスト教でも、日本の仏教の法事・法要と同じようなタイミングで集まるご家庭もみうけられます。

<代表的な法事・法要を押さえておこう>

法事・法要にはさまざまな種類があります。ここでは時系列順に、代表的なものを紹介します。

なお日付は目安です。厳密にいえばその日に行わなければならないのですが、現在は「その日の直前の土日」などのように、残された人の都合がつきやすい時期に行われることが多いといえます。

・初七日法要

故人が旅立ってから行われる代表的な法事・法要のなかで、もっとも早い時期に行われるものです。故人が旅立ってから7日目に行われるものであり、故人が三途の川にたどり着いたときに行います。「故人がわたる三途の川が穏やかな流れであるように」「無事に三途の川を渡れますように」という祈りを込めて行われます。

非常に重要な法事・法要ですが、「葬儀のときも休んだのに、1週間後にも休むことはできない」「遠方から来てくださったご親族に何度もご足労いただくのは申し訳ない」などのように考える人も多くなってきたことから、現在は葬儀を行った日に行うことが多いといえます。通夜の翌日に葬儀→葬儀と同日に火葬→火葬場から帰ってきてから初七日法要→食事……という流れをとるケースがよくみられます。なおこの場合、特に「繰上初七日法要(繰り上げ初七日法要)」と呼ばれます。

・四十九日法要

初七日法要が繰り上げ式で行われることが多くなった現在においては、この四十九日法要が葬儀後のもっとも早い法事・法要になることが多いかと思われます。四十九日法要は「七七日法要」とも呼ばれます。

一部の宗派を除き、仏教では「亡くなった人は7日ごとに裁きを受けて、49日目についに行先が決まる」と考えています。そのため、故人のために残された人間が善を積み、故人の行先が良きものであるようにと法事・法要を行うわけです。

このような意味を持つため、かつては四十九日法要の前にも7日ごとに法事・法要が行われていました。

初七日法要の後には二七日(ふたなのか)法要が、二七日法要の後には三七日(みなのか)法要が、三七日法要の後には四七日(よなのか)法要が、その後には五七日(ごなのか)法要が、さらにその後に六七日(むなのか)法要が行われ、四十九日法要にいたります。

ただ宗教への帰属意識が薄れつつある現在では、二七日~六七日法要を都度行うご家庭はほとんどありません。

またかつては四十九日法要が終わって初めて精進料理以外のものを口にする……とされていました。このためこの儀式を四十九日法要とともに行い、「精進落とし」としていました。

しかし現在はこの精進落としの席も繰上初七日法要の後に行われることが多く、葬儀の翌日からは普通の生活に戻るご家庭が多いといえます。

・一周忌

命日から1年が経ったときに行われるのが、「一周忌」です。「一回忌」と呼ばれることもあります。

故人のことを悼んで行われるものであり、この期間が済むと喪が明けることになります(「喪中」に関しては後述します)。

一周忌法要は、これから続く年忌法要のなかでもっとも重要視されるものです。ご家族やご親族などで集まって行うのが基本となりますが、特に親しい立場にあったご友人などの場合は参列することもあります。

・初盆

「新盆」とも呼ばれます。これは、「故人が亡くなってから初めて迎えるお盆」のことをいいます。ただし、四十九日法要が終わっていない段階でお盆が来た場合はカウントしません。

少しわかりにくいので、具体的な日付を用いて説明します。なおお盆の時期は地域によって異なりますが、8月に行われる場合が多いので8月とします。

2021年の5月1日に亡くなった……2021年の8月が初盆

2021年の7月15日に亡くなった……2022年の8月が初盆

2021年の12月20日に亡くなった……2022年の8月が初盆

初盆の時期にはご家族やご親族だけでなく、ご僧侶を呼びお経をあげてもらうのが一般的です。2回目以降のお盆のときには、「単純に家族や親族で集まってお墓参りをするだけ」というご家庭も多いかと思われますが、初盆のときには不祝儀などを持ち寄って行うことが多いでしょう。

・三回忌以降

故人が亡くなってから「2年目に」行われる法事・法要です。「三回忌」としていますが、「3年目に」行われるものではない点には注意してください。

これ以降もこの数え方に従って行っていきます。

三回忌以降は、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌……と」続いていきます。「これで法事・法要はおしまい」とすることを「弔い上げ」といいますが、この弔い上げのタイミングはご家庭によって異なります。体感的には十三回忌で弔い上げとすることが多いように思われますが、七回忌や三十三回忌を弔い上げとすることもあります。

<忌中と喪中の違い>

忌中と喪中の違いについても簡単に解説します。

「忌中」は四十九日法要まで、「喪中」は一年間までを指すことが多いといえます。この間は故人の喪に服し、身を慎んで過ごします。

特に忌中の場合は結婚式などの慶事は避け、神社へのお参りも避けます。お宮参りなども控えるべきとされています。

喪中の場合はそこまで厳密ではありませんが、年賀状などの新年のご挨拶は避ける人が多いといえます。

ただ現在は、「故人が孫娘の結婚式を楽しみにしていたし、すでに結婚式の日取りが決まっている」などのような場合においては、予定通りに結婚式を行うこともあります。

特に、忌中ではなく「喪中」の場合はそれほど厳密にはみない傾向が強いといえます。

このあたりのことはご家族・ご親族で話し合って決めていくとよいでしょう。