〔あおき葬祭コラム〕第25回:初詣のマナーと願い事のポイント、注意点についても知っておきたい

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム, お知らせ


年の初めに行うことといえば、神社への初詣だという人も多いのではないでしょうか。

初詣に行く先は、「ここでなければだめ」という明確な決まりはありません。ただ、氏神様の神社(かつては同じ名前をいただく氏族の間で祀られていた神様のいらっしゃる神社を指していた言葉。現在では「一定の地域に住む人たちが祀っている神社」の意味で使われることが多い)、あるいは崇敬神社(個人の心や信仰によって崇敬している神社のこと)にお参りに行くという人もいます。

また。お寺にお参りに行くという人もいるでしょう。

どこに行くにしても、初詣のマナーを守ってお参りすることが非常に重要です。

ここでは初詣のマナーを中心として、願い事のポイントや初詣の注意点について解説していきます。

 

<初詣の仕方とマナー>

 

初詣の仕方について解説していきます。なおここでは、主に「神社に初詣をする方法」について取り上げていきます。

 

1.鳥居の前についたら一礼して、鳥居をくぐります。

2.参道の真ん中は神様の通り道です。左右に分かれて歩きましょう。ある程度大きな神社の場合、「右側通行」などのように決められていることもあります。

3.手水舎(てみずや。水盤舎/すいばんしゃと呼ばれたり、御水屋/おみずやと呼ばれたりすることもある。手を洗うところ)で手を洗います。その際は下記のやり方で洗います。

①ひしゃくを右手に持って水をすくう

②左手に水をかける

③ひしゃくを左手で持ちかえる

④右手に水をかける

⑤再度右手に持ち替え、左手をくぼませ、そこに水をそそぐ

⑥その水を口に入れて、口をすすいで吐き出す

⑦左手に水をかける

⑧ひしゃくを立てて、水で持ち手を洗い清める

⑨ひしゃくを伏せて戻す

※この流れは、すべて1杯の水で行います。

4.御神前に進み、軽く会釈をします。

5.お賽銭を静かに入れます。なお初詣の場合は賽銭箱ではなく、賽銭箱の前あるいは後ろに白い布が敷かれており、そこにお賽銭を入れるようになっていることもあります。鈴があればこのときに慣らします。

6.深いお辞儀を2回行います。腰の角度は90度くらいです。

7.身を起こし、2回拍手を行います。このとき、音が出るように鳴らします。

8.お祈りをします。

9.最後に一礼をします。この6から9までのやり方を、「一礼二拍手一礼」といいます。

10.参拝終了後、鳥居まで戻ります。鳥居を出たら振り返り、再度お辞儀をして出ます。

 

これが初詣の基本のやり方です。

 

なおお寺でも基本的には流れは一緒です。しかしお寺の場合は一礼二拍手一礼はしません。一礼をしてお賽銭を入れて、手を合わせて、一礼をして終わりです。またお寺の場合は手は打ち鳴らさず、静かに手を合わせるようにします。

線香の香りを浴びることができる香閣(こうかく)がある場合は、体の弱い部分に煙を浴びるようにします。

 

<お願い事はしても良い? そのときのポイントは?>


しばしば問題になるのは、「初詣のときにお願い事をしても良いか」という点です。

 

神社へのお参りの際は、基本的にはお願い事をしても構いません。

そのときには自分の名前や住所を心の中で唱え、まずは去年のお礼や報告をします。そしてその後で、1つだけお願い事をするようにします。

このときのお願い事は、「今年も一年健康に過ごせますように」「受験がうまくいきますように」などが良いでしょう。ごく常識的なことですが、だれかを呪ったり、だれかに害悪が及んだりするようなことを願うのは控えるべきです。

 

なお、「お寺で願い事をしてもいいかどうか」については諸説あります。

1.お寺の場合はお願い事をしてはいけない

2.宗派によって異なる。お願い事をして良い宗派としてはいけない宗派がある

3.お願い事をしても問題ない

このあたりについては、なかなか「正解」を見出すのは難しいでしょう。ただ、お寺のページなどでも、「お願い事はしても構わない」としているところが多いため、基本的には3のスタンスをとればよいかと思われます。

 

<お賽銭の話>

 

もうひとつ気になるのが「お賽銭」でしょう。

 

お賽銭の額に決まりはありません。「多額のお賽銭を入れなければ願いが叶わない」ということはありませんし、「多額のお金を入れたのだから願いを叶えてくれ」と考えるのも間違いです。

お賽銭はあくまで自分の気持ちのものですから、「〇円以上入れなければならない」「〇円以下ではだめだ」などのような決まりはありません。

 

ちなみに、縁起の良いお賽銭の額としては以下のようなものがあります。

5円……「ご縁がありますように」という気持ちを表す

11円……「いいご縁がありますように」という気持ちを表す

25円……「二重にご縁がありますように」という気持ちを表す

45円……「始終(一年中)ご縁がありますように」という気持ちを表す

割り切れない数字……夫婦円満に通じるともいわれています。結婚式のときに4万円や6万円を避けるのと同じ感覚でしょう。

 

また逆に縁起の悪いお賽銭の額としては、

10円……「縁が遠くなる」という意味がある

500円……「(これ以上大きな硬貨がないということから)効果がない」という意味がある

と考えられていました。

 

ただこれに関しては、実際の神社やお寺の間でも賛否が分かれるようです。

「これらの縁起の良い数字のお金を入れると良い」としているお寺もある一方、「単なる語呂合わせであって、根拠のないものだ」とする神社もあります。

このあたりは見解が分かれることではありますが、後者の意見についても、「語呂合わせで左右されるものではない」としているのであって、「語呂合わせを考えたお賽銭を入れてはいけない」としているわけではありません。

このため、自分自身が「語呂合わせの良い、縁起が良いとされているお賽銭を入れたい」と考えるのであれば、その気持ちに従うのがよいでしょう。

 

<初詣と喪中、忌中に関して>

 

最後にひとつ、注意点として挙げておきたいのが、「喪中・忌中の神社へのお参り」についてです。

 

宗教観は人それぞれですが、一般的に、忌中(仏教の場合は49日、神道の場合は50日)が明けるまでは神社にはお参りに行ってはいけないとされています。これは、神道では死を「穢れ(気枯れとも)」ととらえるため、神様の領域である神社には立ち入ってはいけないと考えるのです。

ただし、「喪中(多くの場合、故人が旅立ってから1年以内の期間を指す)」の場合は神社にお参りに行っても構わないとされています。

 

また、仏教では死を穢れととらえることはありません。そのため、忌中期間であってもお参りに行っても問題ありません。そもそも仏教では、お寺で葬儀を挙げることもありますから、これはごく当然のことだといえるでしょう。

 

日本においては、かつては仏教と神道が一体化していました。これを「神仏習合(しんぶつしゅうごう。神仏混淆/しんぶつこんこうとも呼ぶ)」といいます。これは明治の時代に解消され、それ以降は仏教と神道で分けられました。現在も息づくさまざまな宗教儀式のなかには、仏教と神道でほぼ同じかたちをとるものもあります。上で挙げた御手水の文化などがそうでしょう。しかし、「忌中にお参りをしてもいいか」などのように、仏教と神道で考え方に違いがみられる部分も存在します。このことを理解したうえで、「新年の初詣はどこに行くか」を考えるとよいでしょう。

 

2021年はぜひ『分散参拝』で密を避けましょう!