〔あおきの葬祭コラム〕第122回:葬儀にまつわる「花」の種類とその特徴

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム, お知らせ

昔から人類は、「弔いの場に花を」という考え方を持っていました。ネアンデルタール人が仲間のために、そのお墓に花を捧げていたという歴史的な事実を知っている人も多いことでしょう。

今回はこの「弔いと花」をテーマに、葬儀にまつわる花の種類とその特徴について解説していきます。

<葬儀に関係する花4つ~「枕花」について>

葬儀に関係する花の種類は、

・枕花

・供花

・花輪

・献花

の4つです。

まずは「枕花」から取り上げます。

枕花(まくらばな)とは、故人に捧げられる花のなかでもっとも早い段階で用意されるものです。これは故人の枕元に置かれる花であり、多くの場合、アレンジメントが選ばれます。

枕花の色は白一色のみで構成されたものが基本です。

枕花を用意するのは、原則として家族または親族が用意します。それ以外の人はこれを送ることは避ける方が無難ですが、故人と家族同然にお付き合いをしていた友人などがこれを出すことはあります。

枕花はその特性上、とにかく早く出さなければなりません。そのため故人が旅立った後(親族や友人の立場ならば、訃報を聞いた直後)に手配する必要があります。

枕花の値段の相場は5.000円~30,000円程度が相場です。特に10,000円前後がボリュームゾーンだといえるでしょう。

<葬儀に関係する花4つ~「供花」について>

「供花」は「きょうか」もしくは「くげ」と読みます。供花は、「亡くなった人のために、捧げる花」という性質を持っています。

供花を用意することのできる立場として、まず「ご家族・ご親族」が挙げられます。ただし供花の場合は、故人と血縁関係がなかった人でも出すことができます。

なお家族・親族の立場から出す場合は、「故人の孫がまだ学生だが、その孫の名前で出す。料金は喪主である親が支払う」というケースもあれば、「故人の兄弟が出す。兄弟は成人しているので、料金は兄弟が払う」などのケースもあります。このあたりには正解はありませんから、ご家族・ご親族で話し合って決めるとよいでしょう。

供花を出す場合によく利用されるのは、「フラワースタンド」です。ただ、バスケット型やフラワーアレンジメントなども選択肢として存在します。また一般的に供花には出した人の名前を書いた札を立てることになりますが、このあたりはご家族の意向によって多少異なります。

供花は、1基もしくは1対で出します。

ちなみにかつては1対で出し、葬儀会場の両脇に飾るのが主流でした。しかし現在は「小さな葬儀=葬儀会場が狭いところで行う葬儀も増えてきた」ということで、1基で出すケースも増えています。

このあたりは地方差もあるため、「必ず1基でなければならない」「必ず1対で出さなければならない」という決まりはありません。

供花を贈りたいと考えたのならば、まずは「供花を贈ってもいいかどうか」を確認してください。現在は家族葬に代表される小さな葬儀もよく選ばれるようになったため、葬儀会場の狭さや故人の意向を踏まえて、「供花は受け取らない」としているご家庭もあるからです。

なおご家族に連絡をしてしまうと、葬儀の準備で忙しいときに対応させることになるので、確認先は葬儀会社とするのが原則です。ただし、「血のつながった家族であり、打ち合わせも行うために電話をする」というほどに近い関係ならば、直接聞いてもよいでしょう。

なお「供花や供物の類はすべて辞退する」というご意向をご家族が示されたのであれば、それに従います。

供花の手配は、必ず葬儀会社を通じて行います。個々人がバラバラに供花を贈ってしまうと、統一感がなくなってしまうからです。また供花にも「席順」があるため、葬儀会社は喪主と打ち合わせしてこれを決めていく必要があることも、葬儀会社を通して手配しなければならない理由のひとつです。

供花には白やピンクなどのパステルカラーの落ち着いた色合いの花が選ばれることが多いといえます。また仏教では、特に菊の花がよく選ばれます。

なおこのときに贈られた供花は、棺を花で満たすときに使われることもあります。またばらされた供花は仏壇用(※仏教の場合)の花として持ち帰られたり、参列者に配られたりすることもあります。

供花の値段はおおよそ10,000円~30,000円程度です。「もっと大きなものを贈りたい」「〇円で作りたい」という希望があれば、葬儀会社のスタッフに相談してください。

贈る場合は、通夜前に届くように手配するのが理想的です。

<葬儀に関係する花4つ~「花輪」について>

「花輪」とは、葬儀会場の前に飾るものです。大きな円形の土台に花を配したもので、その下にスタンドがついています。

花輪は、「葬儀をここで行っています」ということを示すものであり、大型のものです。また供花とは異なり、葬儀会場内に飾られることはありません。加えて、葬儀の席ではあまり使われることのない「造花」が用いられることもあるのが大きな特徴です(生花を使うこともあります)。

花輪は、喪家のご家族や故人の仕事先や取引先からよく出されるものです。ただし花輪は「葬儀の会場はここです」と示すものであるため、家族葬の場合には贈りません。また花輪は非常に大きいものであるため、小さな葬儀を希望するご家庭の場合は特に断られる可能性が高いといえます。

花輪を贈っていいかどうかは、供花のときと同じく、葬儀会社に確認します。なお花輪の料金は10,000円~20、000円程度が相場です。

かつての葬儀の場では花輪が頻繁に贈られていましたが、現在では花輪は非常に珍しい存在となりました。ただ地方によってはこの花輪がまだ見られることもあるため、知識として押さえておきましょう。

<葬儀に関係する花4つ~「献花」について>

最後に取り上げる「献花」は、ほかの3つとはまったく性質が異なるものです。

献花は、「祭壇に直接捧げる花もしくは祭壇に花を捧げる儀式」をいいます。

キリスト教の葬儀や無宗教の葬儀のときによく行われるもので、仏教における「焼香」と近しい意味を持つものです。

献花は、花1本を祭壇に向けて捧げる形式をとります。祭壇の近くまで歩み出ると葬儀会社のスタッフから花が渡されるため、祭壇に茎側を向けるように置いてください。

献花用の花としては、白い菊などがよく使われます。ただこれは葬儀会社で用意するものですから、参列者・ご家族・ご親族の立場で選ぶ必要はありません。また、金額も葬儀のプラン内に含まれています。

 誰が用意するのか値段置かれる場所
枕花ご家族・ご親族・極めて親しい友人5.000円~30,000故人の枕元
供花ご家族・ご親族。故人やご家族の友人・故人やご家族の仕事先など10.000円~30,000円葬儀会場内
花輪故人やご家族の仕事先など10,000円~20.000円葬儀会場外
献花葬儀会社葬儀料金に含まれる祭壇前

なおここでは代表的な4つを紹介しましたが、これ以外にも「花祭壇(白木ではなく、花で作られた祭壇)」を作るときに花が使われたり、棺に満たすために花が用意されたりします。ちなみに花祭壇に使われる花や棺を満たすときに使われる花は、すべて葬儀会社が用意します。

「花」は、葬送の場に欠かすことのできないものです。そのため葬送の場には、宗教・宗派問わずに、よく花が出てきます。ただしその性質や値段、だれが用意するかなどは、その花の種類によって大きく異なるため、注意しましょう。ご不明点があれば、葬儀会社のスタッフに尋ねてみてください。