標準霊きゅう運送約款

〇標準霊きゅう運送約款(平成十八年国土交通省告示第千四十七号)

最終改正 令和七年 国土交通省告示第百九十三号

目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 運送業務
第一節 通則(第三条・第四条)
第二節 引受け(第五条―第十一条)
第三節 搬出又は搬入(第十二条)
第四節 受取及び引渡し(第十三)
第五節 指図(第十四条・第十五条)
第六節 事故(第十六条)
第七節 運賃及び料金(第十七条―第二十二条)
第八節 責任(第二十三条―第三十一条)
第九節 連絡運輸(第三十二条―第三十七条)
第三章 附帯業務(第三十八条)

第一章 総則

(事業の目的)
第一条 当店は、一般貨物自動車運送事業(霊きゅう自動車を使用して遺体を運送する事業(これに附帯するものを含む。)に限る。以下同じ。)を行います。

(適用範囲)
第二条 当店の経営する一般貨物自動車運送事業に関する運送契約はこの運送約款の定めるところにより、この運送約款に定めのない事項については法令又は慣習によります。
2 当店は、前項の規定にかかわらず、法令に反しない範囲で、特約の申込みに応じることがあります。

第二章 運送業務
第一節 通則

(受付日時)
第三条 当店は、受付日時を定め、これを主たる事務所その他の営業所の店頭に掲示し、又は当店のウェブサイトに掲載します。
2 前項の受付日時を変更する場合には、あらかじめ、主たる事務所その他の営業所の店頭に掲示し、又は当店のウェブサイトに掲載します。

(運送の順序)
第四条 当店は、運送の依頼を受けた順序により、遺体の運送を行います。ただし、遺体の状況又は行政機関の命令その他正当な事由がある場合には、この限りではありません。
2 当店は、前項ただし書の規定により、遺体の運送を引き受けたときは、その日時を指定することがあります。

第二節 引受け

(遺体の性質の確認)
第五条 当店は、遺体の運送の申込みがあったときは、その遺体の性質を通知することを依頼人に求めることがあります。

(引受拒絶)
第六条 当店は、次の各号に掲げる場合には、遺体の運送の引受けを拒絶することがあります。
一 当該運送の依頼が、この運送約款によらないものであるとき。
二 依頼人が、前条の通知をせず、又は第九条第二項の要求に応じなかったとき。
三 当該運送に適する設備等がないとき。
四 当該運送に関し、依頼人から特別の負担を求められたとき。
五 当該運送が、法令又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
六 天災その他やむを得ない事由があるとき。

(運送の申込み)
第七条 依頼人は、次の事項を記載した運送申込書を提出しなければなりません。ただし、第二号に掲げる事項及び第四号に掲げる事項のうち運賃、料金等の額については、依頼人が貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第十二条第一項に規定する真荷主又は個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合における者を除く。)(以下「真荷主等」という。)であるときは、運送申込書に記載することを要しません。
一 依頼人の氏名又は名称並びに住所及び電話番号
二 当店の商号並びに住所及び電話番号
三 出発地及び到着地(団地、アパートその他高層建築物にあっては、その名称及び電話番号を含む。)
四 運賃、料金、立替金その他の費用(以下「運賃、料金等」という。)の支払いに関する事項。
五 附帯業務を委託するときは、その旨及び当該附帯業務の内容
六 運送申込書の提出年月日
七 その他遺体の運送に関し必要な事項
2,前項において、当店が電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって当店で定めるものをいう。以下同じ。)による運送の申込み方法を定めているときは、同項の運送申込書の提出に代えて、当該運送申込書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、申込者は、当該運送申込書を提出したものとみなします。

(運送の引受け)
第八条 当店は、前条第一項の運送申込書の提出があった場合において、申込者との協議により、当該運送を引き受けることとするときは、同項第一号から第四号に掲げる事項に加え、次に掲げる事項を記載した運送引受書を交付します。ただし、真荷主等以外の者が依頼人であるときは、この限りではありません。
一 附帯業務を行なうときは、その旨及び当該附帯業務の内容
二 運送引受書の交付年月日
2 当店は、あらかじめ申込者の承諾を得て、前項の運送引受書の交付に代えて、当該運送引受書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することがあります。この場合において、当店は、当該運送引受書を交付したものとみなします。

(収納柩(ひつぎ)等)
第九条 依頼人は、遺体の性質及び運送距離等に応じて、遺体を適切に運送できるように柩等に収納しなければなりません。
2 当店は、その遺体を収納する柩その他の設備の構造が運送に適さないと認められた場合には、依頼人に対して、その改造等を要求する事があります。

(付添人)
第十条 当店は、依頼を受けた遺体の運送について、付添人の同乗を要求することがあります。

(連絡運輸又は利用運送)
第十一条 当店は、依頼人の利益を害しない限り、引き受けた遺体を航空機、鉄道、船舶その他の運送機関と連絡して、又は他の一般貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送若しくは航空機、鉄道、船舶その他の運送機関を利用して運送することがあります。

第三節 搬出又は搬入

(搬出又は搬入)
第十二条 遺体の搬出又は搬入は、当店の責任においてこれを行います。

第四節 受取及び引渡し

(受取及び引渡しの場所)
第十三条 当店は、第七条第一項の運送申込書に記載された出発地において依頼人又はその指定する者(以下「依頼人等」という。)から遺体を受け取るとともに、通知された到着地において当該依頼人等に遺体を引き渡します。

第五節 指図

(指図)
第十四条 依頼人は、当店に対して、遺体の運送の中止その他の運送内容の変更につき指図をすることができます。
2 前項に規定する依頼人の権利は、遺体が到着地に到着した場合において、依頼人が遺体の引渡し又はその損害賠償の請求をしたときは、行使することができません。
3 第一項に規定する指図に従って行う運送内容の変更に伴い生じた費用は、依頼人の負担とします。

(指図に応じない場合)
第十五条 当店は、運送上の支障が生じるおそれがあると認める場合には、前条第一項の規定による指図に応じないことがあります。
2 当店は、前項の規定により、指図に応じないときは、遅滞なく、その旨を依頼人に通知します。

第六節 事故

(事故の際の措置)
第十六条 当店は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、依頼人に対して、相当の期間を定め、その対応につき指図を求めます。
一 遺体の著しい滅失、損傷その他の損害を発見したとき。
二 当初の運送経路又は運送方法によることができなくなったとき。
三 相当の期間、当該運送を中断せざるを得ないとき。
2 当店は、前項各号に掲げる場合において、依頼人の指図を待ついとまのないとき又は当店の定めた相当の期間内に前項の指図がないときは、依頼人の利益のために、当店の裁量によって、当該遺体の運送の中止又は運送経路若しくは運送方法の変更その他の適切な対応をすることがあります。
3 当店は、前項の対応をしたときは、遅滞なく、その旨を依頼人に通知します。
4 第一項の規定にかかわらず、当店は、運送上の支障が生ずると認める場合には、依頼人の指図に応じないことがあります。
5 当店は、前項の指図に応じないときは、遅滞なく、その旨を依頼人に通知します。

第七節 運賃及び料金

(運賃及び料金)
第十七条 当店は、引き受けた運送に対しては、国土交通大臣に届け出るべき運賃及び料金を収受します。
2 個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。)を対象とした運賃及び料金は、主たる事務所その他の営業所の店頭に掲示し、又は店頭に掲示するとともに、当店のウェブサイトに掲載します。
3 当店は、収受した運賃及び料金の割戻しはしません。

(運賃又は料金の提示)
第十八条 当店は、遺体の運送を引き受ける前に、遺体の運送及びそれに必要な柩の調達、遺体の柩への収納、保管その他一般貨物自動車運送事業に附帯する業務(以下「附帯業務」という。)に要する運賃又は料金については、その項目ごとに試算を行い、依頼人に提示します。この場合において、依頼人が試算の結果の書面による提示を求めた場合には、これに応じます

(運賃、料金等の収受方法)
第十九条 当店は、遺体を受け取る時までに、依頼人から運賃、料金等を収受します。
2 前項の場合において、運賃、料金等の額が確定しないときは、その概算額の前渡しを受け、運賃、料金等の確定後に依頼人に対して、その過不足を払い戻し、又は追徴します。
3 当店は、第一項の規定にかかわらず、遺体を引き渡す時までに、運賃、料
金等を依頼人から収受することを認めることがあります。

(運賃請求権)
第二十条 当店は、遺体の全部又は一部が天災その他やむを得ない事由により滅失し、若しくは相当程度の損傷を生じたとき又は当店の責めに帰すべき事由により滅失したときは、当該滅失し、又は損傷を生じた遺体に係る運賃、料金等を請求しません。この場合において、当店は、既に運賃、料金等の全部又は一部を収受しているときは、これを払い戻します。
2 当店は、遺体の全部又は一部がその性質又は依頼人の責めに帰すべき事由によって滅失したときは、運賃、料金等の全額を収受します。

(事故等と運賃、料金等)
第二十一条 当店は、第十四条及び第十六条の規定により対応をしたときは、その対応に応じて、又は既に行った運送の割合に応じて、運賃、料金等を収受します。ただし、既にその運送について運賃、料金等の全部又は一部を収受している場合においては、当該運賃、料金等の不足があるときは依頼人にその支払いを請求し、当該運賃、料金等の余剰があるときはこれを依頼人に払い戻します。

(中止手数料)
第二十二条 当店は、依頼人からの運送の中止の指図に応じた場合には、依頼人の責めに帰することのできない事由によるときを除いて、中止手数料を請求することがあります。ただし、依頼人が、遺体の搬入の行われるべきであった日の前日までに運送の中止の指図をしたときは、この限りではありません。
2 前項の中止手数料は、第十八条の規定により提示した運賃及び料金の項目のうち、基本額及び乗車定員加算額並びに特殊仕様車料金の合算額の五割とします。

第八節 責任

(責任の始期)
第二十三条 当店の遺体の滅失、損傷又は運送の遅延についての責任は、遺体を依頼人から受け取ったときに始まります。

(責任と挙証)
第二十四条 当店は、遺体の受取から引き渡しまでの間にその遺体が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は遺体が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。ただし、当店が、自己又は使用人その他運送のために使用した者がその遺体の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りではありません。

(運送申込書等の不完全等の責任)
第二十五条 当店は、第七条第一項の運送申込書の記載が不実であったために生じた損害については、その責任を負いません。
2 前項の場合において、当店が損害を被ったときは、依頼人はその損害を賠償しなければなりません。

(免責)
第二十六条 当店は、次の各号に掲げる事由による遺体の滅失、損傷又は運送の遅延その他の損害については、損害賠償の責任を負いません。
一 当該遺体の性質その他これに起因する事由
二 ストライキ若しくはサボタージュ、社会的騒擾その他の事変
三 予見できない異常な交通の障害
四 不可抗力による火災
五 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
六 法令若しくは公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し
七 依頼人の故意又は過失

(責任の特別消滅事由)
第二十七条 遺体の一部滅失、損傷又は運送の遅延についての当店の責任は、依頼人がこれらについて留保しないで遺体を受け取ったときは、消滅します。
2 前項の規定は、当店がその損害を知りつつ遺体を引き渡した場合には、適用しません。

(損害賠償の額)
第二十八条 遺体に全部若しくは一部滅失又は損傷があった場合の損害賠償の額については、公平な第三者の鑑定又は評価によりその額を決定します。
2 遺体の運送が遅延した場合の損害賠償の額は、運賃、料金等の総額を限度とします。

第二十九条 当店は、前条の規定にかかわらず、当店の故意又は重大な過失によって遺体の滅失、損傷又は運送の遅延を生じたときは、それにより生じた一切の損害を賠償します。

(除斥期間)
第三十条 当店の責任は、遺体の引渡しがされた日(遺体の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)から一年以内に裁判上の請求がされないときは、消滅します。
2 前項の期間は、遺体の滅失等による損害が発生した後に限り、合意により延長することができます。
3 依頼人が第三者から委託を受けた遺体の運送を当店が行う場合において、依頼人が第一項の期間内に損害を賠償し又は裁判上の請求をされたときは、依頼人に対する当店の責任に係る同項の期間は、依頼人が損害を賠償し又は裁判上の請求をされた日から三月を経過する日まで延長されたものとみなします。

(利用運送の際の責任)
第三十一条 当店が、他の一般貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送又は航空機、鉄道、船舶その他の運送機関を利用して運送を行う場合においても、運送上の責任は、この運送約款により当店が負います。

第九節 連絡運輸

(運賃、料金等の収受)
第三十二条 当店は、連絡運輸にかかわる遺体の運送を引き受け、かつ、最初の運送を行う場合(以下この節において「連絡運輸の場合」という。)には、遺体を受け取る時までに、全運送についての運賃、料金等を、収受します。
2 当店は、前項の規定にかかわらず、全運送について運賃、料金等を、最後の運送を行った運送事業者が遺体を引き渡す時までに、依頼人から収受することを認めることがあります。
3 第一項の場合において、運賃、料金等の額が確定しないときは、第十九条第二項の規定を準用します。

(中間運送人の権利)
第三十三条 連絡運輸の場合には、当店より後に運送を行う運送事業者は、当店に代わってその権利を行使します。

(責任の原則)
第三十四条 連絡運輸の場合には、当店は、遺体の滅失、損傷又は運送の遅延について、他の運送事業者と連帯して損害の賠償の責任を負います。

(運送約款等の適用)
第三十五条 連絡運輸の場合には、他の運送事業者の行う運送については、その事業者の運送約款又は運送に関する規定の定めるところによります。ただし、遺体の滅失、損傷又は運送の遅延による損害が生じた場合であって、かつ、その損害を与えた運送事業者が明らかでない場合の損害賠償の請求については、この運送約款の定めるところによります。

(損害賠償事務の処理)
第三十六条 連絡運輸の場合には、遺体の滅失、損傷又は運送の遅延についての損害賠償は、その請求を受けた運送事業者が第二十八条の規定により決定された損害賠償の額を支払います。

(損害賠償請求権の留保)
第三十七条 連絡運輸の場合における第二十八条第一項の留保は、その運送を行った運送事業者のいずれに対しても行うことができます。

第三節 附帯業務

(附帯業務)
第三十八条 当店は、附帯業務を引き受けた場合には、実際に要した費用をその都度依頼人に説明した上で収受します。
2 附帯業務については、別段の定めがある場合を除き、性質の許す限り、第二章の規定を準用します。