〔あおき葬祭コラム〕第90回:具足とは何? どんなときに使うもの? その種類について

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム, お知らせ

「葬儀・葬祭」は、多くの人にとって非日常的なことです。そのため、「今までの人生のなかで一度も耳にしたことのなかった言葉を、肉親の旅立ちの際に初めて調べることになった」という人も多いかと思われます。また、そのときに慌てないようにするために、事前に情報を手に入れておきたいと考える人もいることでしょう。

今回はそんな人のために「具足」を取り上げ、その意味や考え方、概要などについて解説していきます。

<具足は、仏具に分類されるもの>

「具足」(ぐそく)」という言葉を単純に辞書でひくと、おそらくまず初めに「武士が身に着ける鎧かぶと」とする解説が出てくるでしょう。たしかに具足には、このような意味もあります。

しかし仏教の世界や葬送の分野で使うときには、「具足」はまったく異なる意味を持ちます。

これ以降は、特に記載をしない限りは、「具足=仏教を信仰する人や、葬送の儀式を行う場合に使われるもの」という意味で解説していきます。

「具足」は仏具に分類されるものであり、人が亡くなった後に弔っていくときに使われるものです。通夜~葬儀のときには、枕飾りを含む祭壇に置かれます。それが済んで祭壇が取り除かれた後は、仏壇に飾られることになります。

故人をお祀りし、故人を悼み、故人に向き合うためのものとして、「具足」があるのです。

詳しくは後で解説しますが、具足は、「3つ~5つの仏具を合わせたものの総称」です。そのため、「具足」はどれか1つだけの特定の物品を指す言葉ではありません。香炉、燭台、花立を合わせた言葉として使われているのが「具足」だと考えてください。

上でも触れた通り、具足は仏具です。つまり仏教用語であり、仏教のかたちで故人を弔っていくときに使用されるものです。そのため、キリスト教や神道では原則としてこれは用いません。ただ、販売元などによっては、「神棚に飾るため(神道)の道具」として「具足」という表現を利用しているところはあります。

また、具足という言葉自体は仏教のものであるものの、神道やキリスト教でもこれに似た発想の元で使われるものもあります。たとえば「燭台」は、神道でもキリスト教でも仏教でもみられるものです。花や榊を立てるための花瓶のようなものもまた、神道でもキリスト教でも仏教でも使われています。

また、「具足は仏教のもの」としましたが、仏教には数多くの宗派があります。このため、具足のかたちやお祀りの仕方が、宗派によって異なる場合もあります。ただこのあたりを、それほど宗教への帰属意識が高くない人がすべて把握しようとするのは非常に困難です。そのため、実際に具足を家の仏壇に取り入れたいと考えるのであれば、仏壇を扱うお店に行って、宗派を伝えたうえで選んでもらうようにするのが現実的です。

なお、「この家で人が亡くなるのは初めてだし、仏壇もない。当然具足もそろっていない」という人も少なくはないでしょう。このようなケースでも、心配する必要はありません。ご臨終~葬儀の終了~祭壇の撤去までの間は、葬儀会社が具足を用意します。そのため、慌てて買う必要はありません。

<具足の種類、三具足・四具足・五具足について>

さてこのような特徴を持つ「具足」は、その数によって、

・三具足

・四具足

・五具足

の3つに大別されます。

ひとつずつ解説していきましょう。

・三具足(さんぐそく、みつぐそく)

具足のなかでも、もっとも基本となるのがこの「三具足」です。三具足は、

①香炉1つ

②燭台1つ

③花立1つ

によって構成されています。

※それぞれの仏具が持つ意味については後述します。

もっとも簡素な方式ではありますが、その分どこの家でも飾りやすいというメリットがあります。特に浄土真宗においては、この三具足が「平時における一般的な飾り」として用いられています。日々のお参りに使いたいということであれば、この三具足がよいでしょう。

・四具足(しぐそく)

浄土真宗本願寺派でよく用いられる形式で、

①香炉1つ

②燭台1つ

③花立2つ

で構成されます。

三具足に花立を1つ追加したのが、この「四具足」です。「花立を1つ追加しただけ」とはいっても、花立はそれほど小さいものではありません。またある程度間隔を置いて配置する必要があるため、ある程度の大きさを持つ仏壇向きのセットだといえるでしょう。

・五具足(ごぐそく)

五具足は、

①香炉1つ

②燭台2つ

③花立2つ

で構成されています。もっとも正式な荘厳(しょうごん。徳を示すための装飾品、あるいはその安置場所などを指す仏教用語)形式であり、もっとも数が多い選択肢でもあります。

現在は、一般家庭でこの五具足を用いることはあまりありません。ただ、特に信心深いご家庭ならば、これを採用することもあるでしょう。

「具足」の基本はこの3種類です。

ただここに、お供え物としての湯飲みや、仏様にささげる仏飯器などを合わせた数え方もあります。この場合は、五具足+湯呑+仏飯器=七具足、と呼ばれることもあります。またさらに、ここに高杯2つと仏飯器1つを追加したものを「十具足」とすることもあります。

具足はあくまで「仏具」であるため、どの選択肢が良い・悪いとはいえません。 ただ、「それほど大きい仏壇は入れられない」「日常的にお参りをしていきたい」ということであれば、三具足が使いやすいかと思われます。

<どの具足にも入っている! 香炉・燭台・花立とは?>

最後に、香炉・燭台・花立について解説していきます。これらはどの具足にも入っているもので、基本的なお参りのための道具だといえます。なお具足のなかには、九谷焼などで作られたものもあります。

・香炉

香炉には複数の種類があり、宗派ごとでそのかたちが異なります。たとえば真言宗の場合は、真鍮製で3本の脚はついた「火舎(ほや、かしゃ)」がよく使われています。また、葬儀の席などでよく使われる、丸型で脚のついた「前香炉」と呼ばれるものも存在しています。

ちなみに香炉は、当然のことながら、これだけでは使えません。線香や抹香が必要となります。そのため、香炉にはお香を入れるためのお香入れが付属します。

・燭台

上でも述べた通り、「ろうそく」はどの宗教でもみられるものです。

かつては、ろうでできたろうそくに、本物の火をともして供養をしていました。しかし現在は安全面の観点から、このような「本物の火」を使うことを避けるご家庭も多くあります。その場合は電気式のものを使いましょう。

ちなみに、浄土真宗本願寺では、特に黒い燭台を好んで使います。

・花立

「亡き人に花を手向ける」という考え方は、太古からあります。花立は、そのような花を活けておくための道具です。なおこれは「華瓶(けびょう)」と呼ばれることもあります。

色はさまざまで、金色になっているものや黒色のもの、シンプルな白色の焼き物などがあります。ほかの2つとの調和を考えて選ぶとよいのですが、実際には「三具足(四具足・五具足)」というかたちでまとめて購入することが一般的であるため、花立だけが雰囲気の違うものになることはほとんどないかと思われます。

「具足」は、仏教を信じる人にとって非常に重要な道具です。特にそのなかでも、三具足は多くのご家庭に取り入れられることになるものです。

「そのとき」が来ても慌てないように、今からしっかりと知識を着けておきたいものですね。