香典返しは、感謝の気持ちを形にして伝える大切な贈り物だからこそ、品選びで失敗したくないものです。そのため、「どんな品を選べば失礼にあたらないのか」「金額の目安はどれくらいが適切なのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、香典返し用カタログギフトです。カタログギフトは手軽に利用できる一方で、種類が多く、どれを選ぶべきか迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、香典返しの基礎知識から贈る際のマナー、カタログギフトの選び方のコツなどを知ることができます。香典返し用のおすすめカタログギフトもランキング形式で紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
香典返しにカタログギフトを選ぶメリット
まずは、香典返しとしてカタログギフトを選ぶメリットについて簡単に見ていきましょう。
- 受け取る相手の好みに合わせて品物を受け取れる
- 価格帯が細かく設定されているため、香典の金額に応じて選びやすい
- 香典返しとしてマナー違反の品物を贈る心配がない
カタログギフト最大の強みは、受け取る品物を相手側が決められるという点です。掲載されている商品の中から自由に選べるため、実用性の高い品や好みに合った品を選んでもらいやすく、満足度の高い香典返しになりやすいのが特長です。
また、カタログギフトで価格帯が細かく設定されているため、頂いたお香典に応じて選びやすいのもメリットと言えるでしょう。金額に対して過不足のないお返しがしやすく、相手に失礼のない対応ができます。さらに、香典返しには避けるべきとされる品物もありますが、カタログギフトであればその心配もほとんどありません。マナーを守りつつ、相手に喜ばれるお返しができる点も、カタログギフトが選ばれている理由の1つです。
香典返し用のカタログギフトの選び方
ここからは、香典返し用のカタログギフトを選ぶ際に気を付けるべきポイントについて解説していきます。
香典金額に見合った価格帯のものを選ぶ
香典返しの相場に関する解説は後ほどしますが、基本的な目安は「いただいたお香典の半額程度(半返し)」とされています。そのため、この金額に見合った価格帯のカタログギフトを選ぶことが大切です。一般的に、香典返し向けのカタログギフトは、3,000円台・5,000円台・10,000円台といった価格帯で用意されていることが多く、香典の金額に合わせて選びやすくなっています。
ただし、注意したいのはカタログギフト本体の価格だけではありません。挨拶状や掛け紙といった付帯サービスの料金や、配送にかかる送料が別途必要になる場合もあります。もし有料だった場合は、総額で見て適切な価格帯に収まっているかどうかを確認したうえで選ぶようにしましょう。
取り扱いジャンルや商品点数が多いものを選ぶ
カタログギフトの強みは、多種多様なジャンルの商品から選ぶことができるという点です。贈られた側にとっても、カタログの中から自分の好みに合った品を選ぶ楽しみもあるでしょう。ただし、多種多様な商品が掲載されているとは言え、実際には偏りというものが存在しています。
定番としては、「食べ物や飲み物などグルメに特化したカタログ」や「日用品・雑貨を中心に掲載したカタログ」が多く、お香典の金額によっては、高級食材や有名ブランドの商品が掲載されていることもあります。香典返しの場合は、相手の年代や家族構成、生活環境を考慮して選ぶことが大切ですが、迷った場合はお菓子や食品などの「消え物」を選ぶのが無難とされています。
特に若い世代や共働き家庭であればグルメ系、ご年配の方には食品や実用性の高い消耗品が喜ばれやすい傾向があります。どのジャンルにするか判断に迷ったときは、食品を中心に幅広いアイテムが掲載されているカタログを選んでおくと、香典返しとして失礼になる心配も少なく安心です。
挨拶状や掛け紙などの付帯サービスが充実している
香典返しを贈る際には、弔事ならではのマナーに配慮した形で手配することが大切です。カタログギフトをそのまま裸で贈るのはマナー違反とされており、基本的には「表書きを入れた弔事用の掛け紙」や「お礼の挨拶状」などを添えて贈るのが一般的です。
贈る方が多い場合、一つひとつ個別で用意するのは大きな負担になります。そのため、掛け紙や挨拶状をセットで用意してくれるカタログギフト業者を選ぶと、手間を省けて安心です。無料で提供している業者もありますが、中には有料オプションとして提供しているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、表書きや挨拶状の文面を複数パターンから選べるかも重要なチェックポイントです。家族葬や少人数での葬儀であれば簡潔な文面、一般葬であれば丁寧な文面を選ぶなど、状況に応じた使い分けができます。あわせて、梱包料や配送料が無料かどうかといったコスト面も確認しておくと安心でしょう。
注文方法がわかりやすいものを選ぶ
カタログギフトの申し込み方法は、主に「インターネット申し込み」と「はがき申し込み」の2種類があります。インターネット申し込みは操作が簡単で、時間や場所を選ばずに手続きできる点が大きなメリットです。一方で、スマートフォンやパソコンの操作に不慣れなご年配の方には、はがきで申し込めるタイプのカタログギフトの方が安心でしょう。
ただ、ご年配の中には「カタログギフトから選ぶのが面倒」、「選んでくれた品物を貰った方が、ありがたみを感じやすい」と考える方も少なくありません。そのため、相手によってはカタログギフトではなく、あらかじめ品物を選んで贈るという方法も選択肢の一つです。カタログギフトは便利で幅広く対応できる反面、すべての方に最適とは限らないことも理解しておくとよいでしょう。
香典返し用カタログのおすすめ人気ランキング6選
ここからは、香典返し用カタログギフトのおすすめ業者をランキング形式で紹介していきます。各業者で強みは異なりますが、もし迷った方は上位の中から選ぶと良いでしょう。
ハーモニック
| カタログ価格 | 3,190円~110,990円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・日用品・家電・雑貨・グルメ・スポーツ用品・体験・旅行など |
| 送料 | 一律:385円(2,750円以上の購入で無料) |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・挨拶状・包装紙・カタログサンプル |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・FAX申し込み ・郵送申し込み |
- カタログギフト業界最大手の専門企業
- カタログギフト専門店なので目的のものが見つけやすい
- 事前に無料サンプルを受け取れるサービスあり
- 無料付帯サービスも充実している
- 価格帯も3,190円~110,990円で配送料も実質無料
- 購入金額に対して5%がポイントとして還元される
ハーモニックは、カタログギフト業界最大手の専門企業です。数多くのジャンルを取り揃えたカタログギフトを提供しており、あらゆる属性の方でも安心して受け取れるように内容も厳選されています。カタログギフト専門店ならではの安心感がありますので、初めての香典返しにもおすすめの会社です。
そんなハーモニック最大の強みは、メーカー直営ならではのクオリティと安心感です。香典返し専用のカタログギフトもありますし、何より事前に無料サンプルを請求できるのが特徴的です。実物を自分の目で確認できますので、安心して香典返しを贈ることができます。
無料サポートも充実しており、掛け紙(のし)や挨拶状、包装紙などが無料で付帯しています。初めての香典返しで分からないことがあっても、専門スタッフによるサポートがあるのも大きな魅力です。とくに表書きや挨拶状はマナー違反になりやすいので、不安な方は遠慮なく相談してみましょう。
カタログギフトの価格帯は3,190円~110,990円となっており、一番安い3,190円でも充実したギフト内容です。配送料は全国一律385円となっていますが、2,750円以上の購入で無料になります。香典返し用のカタログギフトは3,190円からですので、配送料は無料と考えて良いでしょう。
それに加えて、購入金額の5%がポイントとして還元されるのも他社にはない強みです。1ポイントを1円として利用できますので、買い物をよりお得に進められます。新規会員登録すれば500円のポイントが付与されますので、最初から少しだけお得に買い物できるのも大きなメリットです。
シャディ
| カタログ価格 | 3,000円~114,290円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・日用品・雑貨・家電・グルメ・体験・旅行など |
| 送料 | 無料 |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・ラッピング・挨拶状・オリジナルメッセージカードなど |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・郵送申し込み |
- 香典返し用のカタログギフトが360件と非常に豊富
- 正午までの注文で当日出荷に対応している
- 無料付帯サービスも充実している
- 注文方法も豊富で、10件以上にも一気に贈れる
- 専用アプリを使えば効率的に香典返しの状況を知れる
シャディでは、360件もの香典返し用のカタログギフトを用意しています。ジャンルも豊富で価格帯も3,000円~114,290円と幅があるため、さまざまな属性の方におすすめのギフトを贈ることができます。正午までに注文できれば、当日出荷の「お急ぎ便」も利用可能です。
無料付帯サービスも充実しており、無料オリジナルメッセージカード・挨拶状、掛け紙、ラッピングを依頼できます。香典返しとしてはそこまで用途はありませんが、ラッピングの組み合わせは250種類以上とバリエーション豊かです。簡単操作で動画を贈ることもできますよ。
注文方法も豊富で、10件以上の方に贈るなら「簡単エクセル一括注文」、住所登録データがあるなら「アドレス帳一括登録」、住所を知らなくてもSNSやメールで贈れる「ソーシャルギフト」などがあります。一人ひとり記入しなくても良いので、効率的に香典返しを贈ることができるでしょう。
他のサイトにはない強みとしては、専用の「Shaddyアプリ」があります。会員登録することで、会員限定の割引クーポンやセール情報を入手することができます。購入履歴が確認できますので、以前誰に何を贈ったのか分かりますし、配送状況もアプリ上で確認することができるなど利便性も高いです。
リンベル
| カタログ価格 | 2,310円~110,990円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・雑貨・日用品・グルメ・スイーツ・旅行など |
| 送料 | 全国一律:440円(3,600円以上の購入で無料) |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・包装紙・プロ添削付きの挨拶状サービスなど |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・FAX申し込み ・郵送申し込み |
- 30年以上の歴史と実績のある安心企業
- 香典返しに関するプロがあらゆる悩みに対応してくれる
- 挨拶状をプロが添削してくれるサービスが無料
- 3,960円以上の購入で配送料が無料になる
- 支払い方法が豊富でクレジットカードを持っていなくても安心
リンベルは、法要・香典返し・満中陰志に対して30年以上の歴史と実績がある業者です。掛け紙や包装紙、プロ添削付きの挨拶状サービスなど、あらゆるサポートに力を入れています。もし多くの方に香典返しする場合は、エクセル申込で一気に注文することも可能です。
注文したカタログギフトが届くタイミングは、挨拶状の種類によって異なります。お急ぎの方は「定型メッセージカード(注文から7日目以降)」、奉書への印字まで行いたい方は「定型文挨拶状(注文から10日目以降)」、最大限の品質を求めたい方は「プロが作成するオリジナル挨拶状(注文から14日目以降)」がおすすめです。
今まで香典返しをしたことがない方は、マナー面で迷うことも多いです。リンベルでは、香典返しに関するあらゆる悩みに対して相談することができます。注文後の奉書から、配送先リストの確認まで専門スタッフが個別対応してくれるほど充実しています。
カタログギフト料は2,310円~110,990円となっており、利用しやすい価格帯と言えるでしょう。3,960円以上の注文であれば、配送料も無料になります。支払い方法もクレジットカード決済、コンビニ払い、各種電子マネー決済、キャリア決済など豊富で使いやすいです。
ソムリエ@ギフト
| カタログ価格 | 1,100円~349,800円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・雑貨・日用品・家電・スポーツ用品・グルメ・スイーツ・旅行・体験など |
| 送料 | 全国一律:330円(2,980円以上の購入で無料) |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・包装紙・挨拶状・お礼状など |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・郵送申し込み |
- プロが厳選した高品質なギフトが用意されている
- カタログギフトの価格帯は1,100~349,800円と幅が広い
- 取り扱いジャンルも豊富なので相手の属性に合わせやすい
- 無料付帯サービスが豊富に用意されている
- 初めての利用であれば割引クーポンを利用できる
ソムリエ@ギフトは、ギフトのプロが厳選した品物が揃っているネットショップです。デザイン性や品質に高いこだわりがあり、定番商品からおしゃれなアイテムまで豊富に用意されています。カタログギフトの種類も豊富ですので、贈る方の属性に合わせた選択がしやすいのも強みです。
カタログギフトの価格帯は、1,100~349,800円と非常に幅広いです。香典返しとして100,000円を超える商品を贈ることは珍しいですが、ソムリエ@ギフトであれば100,000円以上のカタログギフトの選択肢が豊富に用意されています。
初めての香典返しで不安な方でも安心して使えるように、充実した無料ギフトサービスも魅力的です。メッセージカードや挨拶状、掛け紙、包装紙などすべて無料で利用できます。香典返しのマナーについてまとめられた記事も用意されているため、それを確認しながら進むことが可能です。
初めて購入する方限定で、全品5%OFFになる割引クーポンを発行しています。2,980円以上の商品を選べば配送料も無料になるなど、利用者がお得に使える制度が多いのも特徴です。申し込み方法もインターネットor郵送を選べますので、ご年配の方でも安心して贈ることができます。
おこころざし.com
| カタログ価格 | 2,530円~111,100円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・雑貨・日用品・家電・スポーツ用品・グルメ・旅行など |
| 送料 | 全国一律:550円(2,800円以上の購入で無料) |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・包装紙・挨拶状 |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・郵送申し込み |
- 香典返しなど弔事用のギフト専門サービス
- 24時間いつでも注文可能で送付先の一括登録もできる
- 無料付帯サービスも充実していて経済的
- 何でも相談できる専任アドバイザーも付いてくれる
- カタログギフトのジャンルも豊富で価格帯も使いやすい
おこころざし.comは、香典返しを含む弔事ギフト専門サービスです。品揃えも豊富で、カタログギフトの選択肢が多いのも専門店ならではの強みと言えます。初めての香典返しでどのカタログギフトにするか悩んでいる方でも、安心して利用できるでしょう。
掛け紙や挨拶状、包装紙なども無料付帯サービスとして提供しており、無駄な費用が少ないため多くの方に香典返しするケースでも安心です。もし何か分からないことがあっても、香典返しに関するマナーを相談できる専任アドバイザーが待機しています。
注文も24時間対応しており、配送料も2,800円以上の購入で無料になります。決済方法の豊富さや送付先の一括登録による効率化など、使いやすさも高レベルです。もし108,000円以上の購入があれば、喪中ハガキの無料作成サービスも提供されています。
カタログギフトも日用品やグルメといった定番商品から、高級品まで圧倒的な数を揃えています。2025年12月の時点で536件あり、価格帯も2,530円~111,100円なので幅広い予算でに対応可能です。新規登録することで500ポイント貰えたり、最大20%OFFなど割引も積極的に行っています。
三越伊勢丹
| カタログ価格 | 3,740円~55,990円 |
|---|---|
| 取り扱いジャンル | ファッション・雑貨・日用品・家電・グルメなど |
| 送料 | 全国一律:660円 |
| 無料付帯サービス | 掛け紙・挨拶状・包装 |
| 注文方法 | ・インターネット申し込み ・郵送申し込み |
- 老舗百貨店という安心感と安全性がある
- 宗派や地域別に用意された文例がある
- カタログギフトの価格帯は3,740円~55,990円と少し控え目
- カタログギフトの数も少ないが悩みにくいのはGOOD
老舗百貨店である三越伊勢丹でも、香典返し用のカタログギフトを提供しています。長年にわたって冠婚葬祭用のギフトを取り扱ってきた実績があり、他のサービスとはまた違った安全性と安心感を感じられます。実際、口コミでも「百貨店ならではの安心感がある」という内容が多かったです。
香典返しに必要な掛け紙や挨拶状、包装に関しても無料で付けてくれます。宗派や地域別に文例を用意していますので、それを参考に書けばトラブルに巻き込まれることも少ないでしょう。配送先が日本全国に対応していることに加え、一括登録できるため遠方の親族や関係者に効率良く贈ることが可能です。
香典返し用のカタログギフトは、3,740円~55,990円の価格帯で用意されています。これは三越、伊勢丹どちらでも同じです。他のサービスと比較して最高額が55,990円と安いため、いただいたお香典が高額だと選択するのが難しいのが少しネックと言えるでしょう。
香典返し用のカタログギフトの数も12種類と少ないですが、少ないからこそ迷わないというメリットもあります。シリーズも「栞(しおり)」のみの提供ですので、中身と料金を比較しやすいのも三越伊勢丹の強みと言えるでしょう。
香典返しカタログギフトを贈るタイミングとマナー
ここからは、香典返しカタログギフトを贈る際に気を付けるべきタイミングとマナーについて詳しく解説していきます。地域や宗教などによってこれらは異なりますので、後々トラブルにならないようにしっかりと頭に入れていきましょう。
贈るタイミングは忌明け後1ヶ月以内が目安
まず、一般的な目安は「忌明け後1ヶ月以内」とされています。返礼品の手配は早めが良い…というイメージがあると思いますが、香典返しはそこまで急ぐ必要はありません。むしろ、このタイミングで贈ることによって「無事に四十九日を迎えられました(成仏しました)」という報告もできるのです。
ただし、実際は宗教(宗派)や地域によってベストタイミングは異なります。主なタイミングは、「後日返し」「当日返し」「一部後日返し」の3つです。ここからは、それぞれのタイミングと懸念点について簡単に解説していきます。
後日返し(四十九日法要当日~1ヶ月)
香典返しの一般的なタイミングの一つが、四十九日法要当日から1ヶ月以内の「後日返し」です。個別ではなくお香典をいただいた方に一斉に贈るパターンで、挨拶や感謝の意味を込めて渡します。そのため、受け取った側は「滞りなく弔いが終わった」と分かるのです。
法要当日であれば挨拶も兼ねて手渡しすることも多く、忌明け後1ヶ月以内に贈る場合は宅急便で送ることになります。そのため、香典返しの商品+配送料がかかってしまう可能性があります。カタログギフトであれば重い荷物を持って行く必要もありませんし、送料も無料のケースが多いです。
当日返し(葬儀当日)
通夜や葬儀へお香典を持参してくれた参列者に対して、その日のうちに香典返しするパターンです。一般的なタイミングとは言えませんが、当日返しには以下のようなメリット・デメリットがあります。
- お香典をくださった方に対して漏れなく渡すことができる
- 手渡しできるため感謝の意を伝えやすい
- 発送の手間や配送料がかからない
- 宗派やしきたりを重視する方には良く思われない可能性
- お香典の金額に合った品物を渡せない可能性
当日返し最大のメリットは、お香典をくださったタイミングで渡せるため確実性があります。その場でお香典をいただいた挨拶や感謝の意を伝えられますし、発送の手間がいりません。そういうこともあり、当日返しも増えている傾向にあります。
その一方で、四十九日前での香典返しとなりますので、宗派やしきたりを重視する方には良く思われない可能性があります。それに加えて、いただいたお香典の金額に関係なく渡す品物が同じになってしまいます。そのため、高額なお香典だった場合は追加で香典返しを用意する必要が出てくるでしょう。
神道・キリスト教の場合(特殊)
上記の2つは仏教における香典返しのタイミングですが、神道やキリスト教では考え方が少し異なります。
・神道
神道の場合は、お香典ではなく「玉串料」をいただくことになります。元々は、それに対して返礼品を贈るという習わしはありませんでした。しかし、仏教の影響もあって返礼品を贈るのが一般的になったのです。神道では四十九日ではなく、亡くなってから50日後に行う「五十日祭」が忌明けにあたります。
・キリスト教
キリスト教に関しても、元々はお香典や香典返しといった文化はありません。しかし、現在では時期をみて返礼品を贈る傾向にあります。カトリックでは亡くなってから30日後に行う「追悼ミサ」、プロテスタントでは1ヶ月の「召天記念式」のタイミングで、返礼品を渡すことが多いです。
四十九日前の香典返しについて
香典返しのタイミングは忌明けが望ましいと解説してきましたが、逆にそれより前のタイミングで贈るのはダメなのでしょうか?これにはさまざまな考え方がありますが、仏教では「故人の次の行き先が決まるのは四十九日後であり、遺族は故人の冥福を祈る期間」とされています。
そのため、四十九日前に香典返しを贈るということは「故人の行き先までまだ決まってもいないのに、後処理を済ませようとしている」と、悪い方で捉えられてしまう可能性があります。もし相手側がマナーやしきたりを重んじる方であれば、四十九日前の香典返しは避けた方が良いと言えるでしょう。
ただし、コロナ禍の影響もあって四十九日法要を営まないことも増えています。そのような場合、法要を営まない報告に合わせて香典返しを贈るケースも増えているのです。そのため、現代では「四十九日前の香典返し=バッドマナー」と断定できるわけではありません。
香典返しの相場は半返しが目安
香典返しの相場は、いただいたお香典の半分を返す「半返し」が一般的とされています。これはあくまで目安であり、3分の1返しもあれば、4分の1返しというパターンもあります。それぞれ、どのようなケースで用いるのか見ていきましょう。
3分の1返しのケース
基本的には半返しですが、以下のようなケースでは3分の1返しや4分の1返しでも良い可能性があります。
・一家の主が亡くなった場合
一家の主が一番の働き手であったり、未成年の子どもがいる場合は「香典返しにお金を使うよりも、今後の生活や子どものために使ってください」という配慮が考えられます。そのような場合は、3分の1返しであったり、香典返し自体しなくても良いとされているのです(※お礼状や挨拶状は贈るのがマナー)。
・親族や身内からお香典をもらった場合
親族や身内の場合、他の参列者と比較して多額のお香典をいただくことがあります。これには「葬儀の助けになるように」という意味合いもあるため、必ずしも半返しにする必要はないとされているのです。四十九日法要後に、3分の1~4分の1程度の香典返しを贈ると良いでしょう。
ただ、50,000~100,000円のお香典をいただいた場合、3分の1返しでも16,500~33,000円程度の香典返しになります。高額な香典返しだと品物が限られたり、好みや趣味でない品物を送られても困るだけです。だからこそ、香典返し用のカタログギフトが有効なのです。
当日返しの相場は2,000~3,000円が目安
法要後であれば、いただいたお香典に合わせて香典返しの金額を決められます。しかし、当日返しをする場合はお香典の金額を知ることができません。そのため、2,000~3,000円程度の香典返しを用意しておきましょう。いただけるお香典が分からない以上、高すぎず安すぎない金額で設定するのが大事です。
もしいただいたお香典が当日分だけでは足りない場合、四十九日法要の後に追加で品物を贈ることもあります。例えば、10,000円のお香典をいただいた場合は、四十九日法要の後に2,000~3,000円ほどの品物を追加で贈ると良いでしょう。
香典返しをしなくてもよいケース
基本的には、お香典を頂いた方には香典返しを贈るのがマナーです。しかし、香典返しが不要になるケースもあります。そのような場合、贈る方がバッドマナーになってしまうため注意しましょう。
・香典返しの辞退を申し出があった
参列者の中には、お香典をくださった上で香典返しの辞退を申し出るケースがあります。そのような場合は香典返しをしないのがマナーですが、どうしてもお礼の気持ちを伝えたい場合は「お歳暮・お中元」など、香典返しではないタイミングで贈るのがベストです。
・勤務先都合で受け取れない(法人名義)
勤務先の規則にて、「香典返しの受け取り禁止」と定められているケースがあります。そのような場合、香典返しを送ってしまうと逆に迷惑をかけてしまうでしょう。できるだけ事前に確認し、香典返しが無理な場合は相手の都合に合わせてお礼の言葉を伝えるのがベストです。
さらに、会社などの法人名義にて出されたお香典は、会社の経費として用意されることがほとんどです。そのため、個人が香典返しを受け取ることはできません。法人名義によるお香典では、芳名帳や香典袋などに「香典返しのお気遣いは不要でございます」と一筆添えられていることが多いです。
・受取手のタイミングが悪い
香典返しを贈るタイミングで、相手方の結婚式などお祝い事が重なるケースもあります。香典返しは不祝儀に際した贈り物ですので、受け取るのに良いタイミングではありません。そのような場合は、日時指定サービスを活用したり、日を改めて贈るようにしましょう。
掛け紙は弔事用を選び、必ず挨拶状を添える
お歳暮やお中元を贈る際、品物に対して表書きした「のし紙」を付けて贈ることが多いです。香典返しにも表書きをするのですが、のし紙ではなく「掛け紙」を使用します。掛け紙とは、のしの付いていない紙のことで、弔事用として使用されるものです(※のし紙と呼ばれることもある)。
のし紙はお祝い事で使用されるのが一般的ですので、必ず弔事用の掛け紙を使うようにしましょう。その他にも、表書きや水引など香典返し用で気を付けなければいけないポイントが多くあります。それぞれ、簡単にですが頭に入れていきましょう。
表書きについて
①:志
表書きは宗教や地域によって変えることが多いですが、宗教問わず使える文言が「志」です。水引の結び目の上に薄墨で「志」と書き、結び目の下に喪主の姓名や苗字を記載します。その他にも、「〇〇家」のように喪家を書いても問題ありません。
②:偲び草(しのびくさ)
キリスト教式や神式で葬儀を行った場合は、「偲び草」「偲草」と書くことが多いです。「偲ぶ草」と書くこともあります。もし関西地方で神式の葬儀を行った場合は、偲び草の他に「茶の子(ちゃのこ)」と書くこともあります。茶の子とは、「ささやかなものですが」という意味です。
③:満中陰(まんちゅういん)
西日本で仏式の葬儀を行った場合は、香典返しの表書きに49日目の忌明けの日を迎えたことを意味する「満中陰」や、「満中陰志」と書くケースも多いです。満中陰志とは、「忌明けの日を迎えた報告(満中陰)+心ばかりのお礼(志)」の意味が込められています。
水引について
水引とは、ご祝儀袋・不祝儀袋などに使用される飾り紐のことです。水引には、結び切り(こま結び)と蝶結びの2種類があり、弔事では「不幸は一度切りにしたい」を意味する結び切りを使用します。結び方が分からない…という方もいますが、現在は水引が印刷された掛け紙を使うことも多いです。
水引には色の組み合わせが数種類あり、相手方の状況に合わせて選択する必要があります。もし水引を自分で結ぶ場合は、黒色や黄色といった濃い色が右側にくるように結ぶようにしましょう。色の選び方は、宗教・地域を参考にすると良いです。
水引の色の選び方
| 宗教 | 地域 | 水引の色 |
|---|---|---|
| 仏教 | 全国的 | 黒白・藍銀・紫銀など |
| 仏教 | 関西地方 北陸地方 |
黄銀・黄白 |
| キリスト教・神道 | 全国的 | 黄銀・黄白・双銀 |
| とくに指定なし | 全国的 | 黒白・黄銀・黄白など |
表書き・水引の選び方一覧
| 表書き | 宗派・地域 | 水引 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 志(こころざし) | 指定なし | 黒白・双銀 | どの宗派にも共通して使える表書きであり、黒白や双銀の水引にしておけば安心。 |
| 忌明志(きめいし) | 仏式 | 黒白・藍銀 | 仏式で葬儀を終えた場合、三十五日・四十九日が明けたことに感謝する意で使用する。「忌明」でも同様の意味として使える。 |
| 満中陰(まんちゅういん) | 仏式・西日本 | 黒白・藍銀 | 西日本の場合、四十九日を満中陰と呼ぶことから使用されることもある。より丁寧にするなら「満中陰志」。 |
| 偲び草(しのびぐさ) | キリスト式・神式 | 黄白・双銀 | キリスト式や神式の葬儀を行った場合、五十日祭のあとに贈る意で使用する。「しのび草」などでも可。 |
| 茶の子(ちゃのこ) | 神式・関西地方 | 黄白・双銀 | 関西地方で神式の葬儀を行った場合に使用されることもある。「ささやかなものですが」という意味。 |
挨拶状の書き方も重要
香典返しには挨拶状も同封しますが、書き方にも気を付けたい部分があります。簡単にですが、挨拶状の基本構成を見ていきましょう。
【挨拶状の基本構成】
①:頭語と結語
基本的には「拝啓」や「敬具」でまとめることが多いです。何となくイメージできる部分だと思いますが、必ずしも必要というわけでありません。もし省略する場合は、拝啓・敬具などはセットで省略します。
②:お礼の言葉
会葬や香典に対する「お礼」から書き始めるのが基本です。遠路から来ていただいた方に対しては「遠路よりのご会葬」、使いやすいものだと「ご丁寧なお心遣い」などがあります。来ていただいた方との関係性や状況によってフレーズを使いわけ、感謝の気持ちを伝えましょう。
③:法事終了の報告
法事を終了することができた「年月・場所」を報告することで、滞りなく終わったことを伝えられます。
④:香典返しについて
今回の挨拶状と一緒に、香典返しを贈った旨をしっかりと明記します。難しいことは考えず、「お礼として納めていただきたい」という文面で問題ありません。
⑤:略儀へのお詫び
本来であれば喪主が挨拶に伺うところを、略儀になってしまったことに対してお詫びの言葉を記載しておきます。例えば、「書中にて失礼」や「略儀にて失礼」と記載し、日付や差出人名を忘れずに記載して送るようにしましょう。
香典返しで贈ってはいけない品物
香典返しは、相場であれば何でも良いわけではありません。実は、香典返しとしてタブー・NGとされている品物もいくつかあります(現金・金券含む)。宗教上のトラブルにも発展しかねないので、必ず以下の品物は香典返しとして選ばないようにしてください。
・肉や魚(四つ足生臭もの)
「四つ足生臭もの」とは、四足歩行の動物の肉や魚のことです。殺生を連想させるような品物ということで、香典返しとしてタブーとされています。その他にも、仏教において故人の死後四十九日までは肉や魚を使わない精進料理を食べる習慣があったからとも言われています。
・かつお節やお酒など
かつお節は「結婚式の引出物として定番」、昆布は「喜ぶ(よろこんぶ)」、お酒は「嗜好品」など、慶事を連想させるため香典返しとしてタブーでした。しかし、故人がお酒好きだった場合は、故人を思い出してもらえる品物としてお酒を送るケースも増えているようです(基本はNG)。
・縁起物がモチーフになった品物
例えば、子孫繁栄の意味があるウサギであったり、長寿のイメージが強いカメやツルなどをモチーフとしたお菓子は「お祝い事」の意味となるためタブーです。その他だと、華やかなパッケージや紅白のお菓子なども香典返しとして相応しくありません。
