〔あおき葬祭コラム〕第23回:みんなが知っている「クリスマス」、その起源の話

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム, お知らせ

私たちにとってもなじみ深い年中行事として、「クリスマス」があります。この「クリスマス」はもともとはキリスト教の行事でしたが、世界で広く受け入れられています。特に宗教に対して比較的寛容な立場をとる日本では、「一応仏教徒ではあるけれど、クリスマスも楽しむ」という人も多いのではないでしょうか。

今回は、広く知られているこの「クリスマス」を取り上げ、その意味や祝い方などについて取り上げていきます。

<だれもが知っている、クリスマスはキリストが生まれた日>

だれもが「クリスマス」は、英語では「Christmas」と書きます。これは、「キリスト(Christ)のミサ(mass)」を合わせた言葉です。ちなみにフランス語ではクリスマスを「Noël」と書きます。「ブッシュ・ド・ノエル」でもおなじみのこの「ノエル」は、「誕生日」という意味を持ちます。またイタリア語でも、同じように「誕生日」とします。なおドイツでは「ヴァイナハツ」と呼ばれており、各都市で盛大に行われるヴァイナハツ・マルクト(クリスマス・マーケット)は非常に有名です。ヴァイナハツ・マルクトでは、それぞれの都市のカップを使ったグリューワイン(温めた赤ワインに、グローブやシナモンなどのハーブを入れたもの)が振る舞われたり、焼きソーセージが振る舞われたりします(2020年は、新型コロナウイルス・COVID-19の影響で、ほとんどの都市がこれを中止しています)。 さてこの「クリスマス」ですが、名前からもわかるように、「キリストの生誕祭」としての意味を強く持っています。しかし実際のところ、イエス・キリストが本当に12月25日に生まれたかどうかは判然としません。現在の日本では考えにくいことですが、昔は「後世に残るような偉業を成し遂げた人物でも、旅立った日のことは記されているが生まれた日のことは記されていない」ということもそれほど珍しいことではありませんでした。そのため、はじめのころは12月25日ではなく、めいめいで別の日に祝っていたとされています。 ただこのような「それぞれめいめいに別の日で祝う」という習慣は、4世紀ごろには収束していました。4世紀ごろからは、現在のように、「12月25日がクリスマス」とされるようになりました。なおローマでは12月に太陽に関するお祝いがされていました。太陽がもっとも短くなる日が冬至とされていますが(※北半球の場合)、この日を境目にまた日が長くなっていきます。この「太陽が力を取り戻すこと」を祝い、ローマ皇帝は12月25日を太陽神の生まれた日と定めていました。この2つが合わさって、「キリストの誕生日は12月25日とする」という考え方が広まっていったのだともいわれています。 ちなみに、キリストの誕生日が12月25日であるとされた年は記録に残っており、336年のことだったということです。私たちがよくあいさつでも交わす「メリー・クリスマス!」の「メリー」には、「楽しい」などの意味があります。 なお、クリスマスが日本に伝わったのは意外なほどに古く、1549年にはすでに伝わっていたとされています。これは戦国時代のことであり、また歴史でも習うフランシスコ・ザビエルが日本にやってきた年でもあります。この年からおそらくクリスマスが行われていたと考えられています。ただ、明確に「記録に残る日本でのクリスマス」は、それから3年後にあたる1552年のことで、山口県で祝われたとされます。ただ日本の場合、キリスト教が禁じられている時代がありました(長崎の出島は例外)。そのため、鎖国の後に再びクリスマスが解禁されるようになったのは、キリスト教の禁止令が出てから260年ほども後の1874年だったとされています。その後は広く親しまれるようになり、1904年にはイルミネーションが灯されるようにもなりました。今も続く老舗の不二家が1910年に初めてクリスマス・ケーキを打ち出したのち、日本でも「クリスマスにケーキを食べる文化」が根付いていくことになります。

 <クリスマスにまつわるあれやこれ、なじみ深いものの言われとその解説>

クリスマスには数多くの「クリスマス関連グッズ」が売られます。これにもそれぞれ由来があります。

今回はそれについて解説していきます。

アドベント・カレンダー……

「アドベント」とは、「キリストが生まれるのを待つ期間」を意味する言葉です。クリスマスの1か月前からがこれにあたります。この期間を過ごすために使われるのが、「アドベント・カレンダー」です。

アドベント・カレンダーは、12月1日~12月24日までの日付が刻印されていて(アドベント期間には11月も含まれますが、アドベント・カレンダーは12月1日が始まりです)、それぞれに小さな扉がついています。それをあけると、中からお菓子(キャンディーやチョコレートなど)が出てくるようになっています。

子どもの楽しみのうちのひとつですが、現在は拡大解釈をされ、「クリスマスまで1本ずつ飲んでいけるように」として「ワインのアドベント・カレンダー」なども打ち出されるようになりました。もっともワインを扉にしまうのは不可能ですから、実際には「24本セットのワインが送られてくる」などのようなやり方をとることが多いようです。

サンタ……

「サンタクロース」とも呼ばれます。彼は実際に実在した聖人をモデルにしたものです。「12月25日がクリスマスである」と定められた4世紀に、現在のトルコにいた「ニコライ司教」がモデルになっているのです。

彼は貧しき人を助ける聖人でした。その彼がカトリック教会によって「クリスマス」と結び付けられ、また伝わった国の人々に呼びやすいように名前が伝わっていくうちに、「サンタクロース」になったとされています。今のように、「赤い服を着て白ヒゲで、トナカイに乗ってやってきて、靴下の中にプレゼントを入れる」というような人物像になったのは19世紀のことです。

などドイツでは、「悪い子はさらっていってしまう」という伝承もあり、彼はサンタクロースの双子の兄弟の片割れだとするものもあります。

イギリスでは緑の服を着ていますし、ロシアではサンタに似た人として「マロースおじさん」という孫娘をつれている人がやってくるという伝承もあるそうです。

モミの木……

クリスマスツリーといえば「モミの木」ですが、これはドイツ生まれの考え方だといわれています。ドイツでは木に対する信仰心が強かったこと、またモミの木は冬でも緑をたたえていたことから、「生命力」を表すものとして大切にされてきました。またモミの木の三角形が、「三位一体」を表すものだと考えられていたこともその理由です。

現在はクリスマスツリーに飾りをつけるのが一般的になりつつありますが、お菓子などを吊るすこともあります。ドイツのヴァイナハツ・マルクトではこの「クリスマスツリーに吊るすお菓子」として、ビスケット状の「レープ・クーヘン」が売られています。

また今から100年ほど前の児童文学などにも、「教会のミサに行ったらクリスマスツリーがあって、そこに吊るされているプレゼントをもらうことができた」などの表記を見ることができます。

クリスマスは、私たちにとって心躍るお祭りのうちのひとつです。師走のイベントといえばクリスマス! という人も多いことでしょう。このような言われを知ってからみると、またクリスマスがより楽しいものとなりそうですね。