〔あおき葬祭コラム〕第114回:お金のためだけではない~「思い出の共有」という観点からの利用も多いメルカリの実態とは

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム

フリマアプリのひとつである「メルカリ」は、非常に知名度が高く、多くの人に利用されているものです。

「フリマアプリ」と聞けば、「若い人が利用しているもの」という印象を抱く人も多いのではないでしょうか。しかし実は、これは人生の終盤戦に入った人にもよく使われているのです。

ここでは、「メルカリの利用者の実情」を紹介していくとともに、「なぜメルカリは、40代以降の人に深く愛されているのか」について解説していきます。

<年代別のメルカリの利用者の実態を知る~60代以上の人が積極的に利用している>

まずはメルカリを利用したことのある人の割合と合わせて、「メルカリの利用者の年齢層と使い方」について解説していきます。

MMD研究所が20歳~69歳の男女6593人を対象にして、「フリマサービス・アプリ(以下では『フリマアプリ』の表記に統一する)を利用したことがあるか、利用したことがある人はどのフリマアプリを使ったか」を聞きました。結果として、半数以上の人がフリマアプリの利用経験があり、利用経験のある人のうちの実に63パーセントがメルカリを利用したと答えています。ほかのフリマアプリである「ヤフオク!」「ラクマ」「PayPayフリマ」などを押さえて、1位になっているのがこの「メルカリ」なのです。

年齢層についても見ていきましょう。「マナミナ」で公開された記事では、それぞれのフリマアプリを利用しているユーザーの年齢層のデータを取り扱っています。
これによれば、メルカリの利用者のうちの実に半数以上(55.9ぱーセント)が40代以上であるということです。注目するべきは「60歳以上」の層の厚さで、これが全体の15.8パーセントを占めています。
「フリマアプリなどの、スマートフォンを利用して行うことが前提となるもの」が若い世代だけのものだというのは今や完全に思い込みであり、ご年配の人たちがこれを積極的に利用していることが分かります。

また、60代以上の人は、ほかの世代に比べてより積極的にフリマアプリ(メルカリ)を使いこなしていることが分かります。メルカリ自身が取った統計においては、「60代以上のメルカリの利用者は、年間に72品近くの出品を行っている。これは20代の実に2倍近くである」という結果が出ています。

さらに、同じようにメルカリ自身が「年代別の1人あたりの平均月額売上額はどれくらいか」のデータを取っています。これは10代・20代・30代・40代・50代・60代以上と6つの世代に分けて男女別に取った統計ですが、男女ともに60代以上がトップにきています。
メルカリでの月額売上額の平均は女性では29788円、男性では31960円に達しています。なお男性の「31960円」という数字は、年代別・男女別12個のカテゴリーのなかでも最高の金額です。女性の「29788円」という数字も、50代以前(50代女性が17500円で、若い世代ほど金額が少なくなる)を大きく突き放しています。

この4つの統計から、フリマアプリ「メルカリ」は、
・フリマアプリのなかでもっとも知名度が高く
・人生の中盤以降の人にも積極的に使われていて
・特に60代は出品数も売り上げも、若い世代に比べて極めて多い
という性質を持つことが分かります。

出典:
MMD研究所「フリマサービス・アプリで転売品を購入しない人は42.9%、出品の際に50.6%が転売かどうか意識すると回答 利用したことがあるフリマサービス・アプリの上位は「メルカリ」「ヤフオク!」「ラクマ」」
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1952.html

マナミナ「フリマアプリ市場を調査。メルカリは月間ユーザー2,000万人超、PayPayフリマは中高年に人気」
https://manamina.valuesccg.com/articles/1654

メルカリ「『60代以上の「メルカリ」取引データ分析』 および 『COVID-19拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用』に関する調査を発表」
https://about.mercari.com/press/news/articles/20210330_covid19_survey/

メルカリ「フリマアプリ「メルカリ」、2018年の利用動向を発表」
https://about.mercari.com/press/news/articles/20190131_mercaridata2018/

<メルカリがご高齢の人に受け入れられる理由~「お金のため」だけではない>

では、上記のような状況はどうして起こっているのでしょうか。

ここからはそれについて分析していきます。

これには、下記の要素が考えられます。

・終活の意識が高まった

・新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で「巣ごもり」に注目が集まった

・コミュニケーションツールとしてメルカリが機能している

ひとつずつ見ていきましょう。

・終活の意識が高まった

データによって多少の違いはありますが、「終活」という言葉の認知度は90パーセントを超えるといわれています。少子高齢化が進んだ現在、「判断力がしっかりある間に、周りのものを処分しておきたい」と考える人が非常に増えているのです。この傾向に、下記でも取り上げる新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延がさらに拍車を掛けました。

「価値はあるけれども、もう自分で使うことはないもの」「家にため込んだもので、かつ自分では普段は出さないもの」を売り払い、その売り払ったお金で「今の自分(や残していくご家族)に必要なもの」を手に入れようとする考え方が増えているのです。

・新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で「巣ごもり」に注目が集まった

上でも少し触れましたが、メルカリを初めとするフリマアプリの需要が高まった背景には、2019年に確認された「新型コロナウイルス(COVID-19)」の影響が見られます。新型コロナウイルス(COVID-19)禍のなかでは「ステイホーム」が謳われるようになり、昔のように「リサイクルショップに自分で不用品を持ち込み、処分してもらう」という方法ではなく、「インターネットを使って、家から出ずに物をやり取りする方法」に注目が集まりました。

このようなことを背景として、今までフリマアプリを利用したことがなかった人も、メルカリなどのフリマアプリを積極的に使うようになったのだと考えられています。

・コミュニケーションツールとしてメルカリが機能している

意外に思われるかもしれませんが、メルカリには「コミュニケーションツール」としての性質があります。

メルカリは個人間でやりとりができるため、そのメッセージのやり取りのなかで、売り手側と買い手側の間になんらかのコミュニケーションが生まれます。お互いを気遣うメッセージのやり取りや、「相手に認識されている」という喜びが、高齢者の抱えがちな「孤独」という問題を癒していると専門家は分析します。

また、なかには、「自分と似たようなものを出品している人が、自分と同じ世代・同じ地域で、当時の記憶がよみがえった」と語る人もいます。

もちろん、この「個人間でのやり取り」「売り手側と買い手側の間に生じるコミュニケーション」のなかには、望ましくないものもあります。言い争いになったり、乱暴な言葉を掛けられたり、無茶な取引を持ち掛けられたりするリスクもゼロではありません。しかしそのような態度を取る人は少数派であり、多くの人は理性と優しさと、極めて常識的な良識を持ってツールを使います。そのため、そこで生まれる交流はお互いの心を癒すものとなる可能性が高いといえるでしょう。

「メルカリ」というサービスは、それを利用する人にとって、単純に「お金を得るための手段」だけにはとどまらないということが、このようなことからも分かります。もちろんメルカリに依存しすぎることは問題ですが、これを上手く利用すれば、効率よく終活を進めたり、「いらないもの」を「いるもの」に変えるためのお金を手に入れたり、コミュニケーションをとったりできることでしょう。

なお、現在は「自分1人でスタートするのは不安」という人のために、認定講師が丁寧に解説する教室も開かれています。「自分も取り組んでみたい!」と思う人は、ぜひ参加してみてくださいね。