〔あおき葬祭コラム〕第104回:「百箇日法要」って何のこと? 何をするの?

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム

旅立つ人を見送る儀式として「葬儀」がありますが、その葬儀が終わった後にもいくつかの追悼行事の機会が設けられることもあります。

ここではそんな追悼行事のうちのひとつである「百箇日(百箇日法要)」について取り上げ、

・百箇日法要とは何か

・百箇日法要のときに行うこと

・百箇日法要のお布施と不祝儀

などについて解説していきます。

<百箇日法要とは、仏教における追悼行事のうちのひとつ>

百箇日法要とは、文字通り、故人が亡くなってから100日目に行われる法事のことです。

故人が亡くなってから3か月と少し経ってから行われるこの百箇日法要には、「悲しみに区切りをつけて、前を向き、悲しみを手放すための行事」という意味があります。「卒哭忌(そっこくき、そっこっき)」とも呼ばれるもので、文字通り、「哭く(声をあげて大きく泣き叫ぶ)ことを卒業する」という意味を持っています。

百箇日法要は残された家族が立ち直っていくためのきっかけとなる儀式ではありますが、もともとは「故人を救い上げるための儀式であった」と考えられています。

一部の宗派を除き、仏教では「四十九日の後に行われる審判によって、行く先が決まる」としています。しかしこの段階で極楽浄土に召し上げられなかった人がいた場合、100日目となる百箇日法要までに追善供養を行うことで再び審判を受けられるようになり、それによって極楽浄土に迎えるとされていました。いわば百箇日法要は、文字通りの「救済措置」として考えられていました。

ちなみにこの百箇日法要は、仏教そのもの同様、中国から入ってきた文化だとされています。

葬儀の後に行われる法要のなかでもっとも早い時期に行われるのは、現在では四十九日法要であることが多いといえます(厳密にいえば四十九日法要の前に「初七日法要」「二七日法要」「三七日法要」「四七日法要」「五七日法要」「六七日法要」がありますが、現在では初七日法要は火葬の日に繰り上げて行うことが多く、二七日法要~六七日法要は省略されることが圧倒的に多い)。

百箇日法要はその四十九日法要の後に行われる追悼儀式であり、一周忌の前に行われる儀式でもあります。

「法要」ということからも分かるように、百箇日法要は仏教の行事です。そのため、神道やキリスト教においては、この百箇日法要はありません。しかし神道の場合は、百箇日法要とまったく同じタイミングで行われる「百日祭」があります。キリスト教の場合は、カトリックもプロテスタントも主に1か月を区切りとし、その次は1年後とされているので、百箇日法要にあたるものはありません。

また現在では、仏教であっても、この百箇日法要を省略するケースが多くみられるようになっています。

<百箇日法要はいつ行う? 何を行うのか? だれを呼ぶのか?>

ここからはより細かく、「それでは百箇日法要はいつ行うのか」「百箇日法要では何をするのか」「だれを呼ぶのか」について解説していきます。

【百箇日法要を行う期日について】

百箇日法要は、「亡くなってから100日目に行う追悼儀式」です。しかし100日目ぴったりに行うことができるケースは、それほどないと思われます。多くの場合、亡くなってから100日目となると、平日になってしまうからです。

このような場合は、日時を前倒しして行います。百箇日法要に限ったことではなく葬送にまつわる仏事全般について言えることですが、これらの儀式は、前倒しにすることがあったとしても後ろ倒しにしてはいけません。百箇日法要は100日目の直前の土日を選ぶことが多いかと思われますが、「絶対に来てほしい人に、どうしても外せない用事があるようだ」などの事情がある場合は、さらにその前の週の土日にしてもよいでしょう。

なお、百箇日法要には準喪服あるいは略喪服で参列します。

【百箇日法要では何を行うのか、料理は?】

百箇日法要は自宅で行うのが一般的です。ただ、葬祭ホールやお寺で行うこともあります。

お経をあげてお祈りをして終わり……としてもかまわないのですが、家族のお墓があるのであればそこに全員でお参りに行くのもよいでしょう。場合によってはこのお墓の前でもお経をあげることがあります。

またこれらの宗教的な儀式が終わったら場所を移動し、食事の席を持つことが一般的です。食事は、自宅でとっても構いませんし、レストランを選んでも構いません。なお葬祭ホールを借りている場合は、葬祭ホールで食事をすることもあります。

現在は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もありますから、会食の席を持つことが少し不安であるという場合は、お持ち帰り用のお弁当を持たせてもいいでしょう。

なお百箇日法要は「法事・法要」にあたるものではありますが、「肉や魚を食べてはいけない」とされているのは四十九日までです(現在は四十九日前でもこれらを解禁することもあります)。

四十九日法要の会食ですでに精進落としは済んでいますから、百箇日法要のときに出す料理は肉や魚が入ったものでも構いません。ただし、イセエビや尾頭付きのタイなどのように、極めておめでたいイメージを持つ食材は使いません。

【百箇日法要に呼ぶ人の範囲とは】

百箇日法要は、一般的に「亡くなった人の家族」だけで行います。最後まで同居していた家族や、極めて血のつながりが濃い人だけで行われるのが一般的です。ただ、もう少し範囲を広げて親戚まで呼ぶこともよくあります。

百箇日法要の場合は、基本的には友人などは呼びません。ただ故人が生前に希望していたり、兄弟姉妹に近いほどにまで親しく付き合っていたりした人の場合は、呼んでも差し支えはないでしょう。百箇日法要に限った話ではありませんが、「呼ぶ人の範囲」にはある程度のルールはあるものの、このルールは絶対的なものではありません。

<百箇日法要のお布施と、不祝儀の話>

最後に、百箇日法要にまつわるお金の話をしていきましょう。

百箇日法要でご僧侶様を呼ぶ場合は、30000円~50000円程度を包みます。また、自宅や葬祭ホールで行う場合は、「御車代」として5000円~10000円程度を包みます(ご僧侶様が所属する菩提寺を会場とする場合は、この御車代は不要です)。

また、百箇日法要の後に食事の席を設ける場合で、かつご僧侶様がこれに参列しない場合は、食事代として10000円前後をお包みするとよいでしょう。

お布施を入れる封筒は白の無地がもっとも一般的です。黒白の水引などをつけることもありますが、基本的には白の無地の封筒を利用した方がよいでしょう。表書きは「御布施」とします。

このあたりのマナーは、通夜~葬儀・告別式のときとは変わりません。

参列者は、百箇日法要に招かれた場合は香典を用意します。香典の金額は故人との関係性が近ければ近いほどに高くなります。10000円~50000円程度が目安ですが、同じ立場の人がいる場合は金額を合わせてもよいでしょう。

香典袋の名前は、「御仏前」「御佛前」とします。あるいは「御香典」「御香奠」としましょう。宗派によって死生観は異なりますが、一般的に「御霊前」は四十九日法要までの書き方とされていますから、これは使わない方が無難です。

現在では省略されることが多くなってきた「百箇日法要」ですが、「故人が安らかであるように」「残された人が立ち直っていけるように」という思いのもとで行われているものだということには変わりありません。

しっかり向き合いたいものですね。