〔あおき葬祭コラム〕第51回:香典のお返しの相場・物・タイミング・香典のお返しをしなくてもよい場合

投稿日 カテゴリ おあきの葬祭コラム, お知らせ

「香典のお返し(香典返し)」は、葬儀の場面において非常によく話題に上るものです。

今回はこの香典のお返し(香典返し)に焦点をあてて、

・香典のお返し(香典返し)の相場

・香典のお返し(香典返し)に選ぶべき物

・香典のお返し(香典返し)のタイミング

・香典のお返し(香典返し)を行わなくてもよい場合

について解説していきます。

なお、本来は「香典」とは仏教用語です。そのため、キリスト教や神道などにおいて「香典のお返し(香典返し)」とすることは、本来は間違っています。しかし現在「香典返し」に代わる一般的な言い方がないこと、また専門家の間でもキリスト教などにおいても広く「香典のお返し(香典返し)」という表現が使われているため、ここでも「香典のお返し(香典返し)」に統一してお話ししていきます。

<香典のお返し(香典返し)の相場は3分の1~2分の1>

香典のお返し(香典返し)で贈る物の相場は、頂いた香典(不祝儀)の額によって決まります。一般的には、3分の1~2分の1の価格の物を贈るのが適正とされています。

つまり10000円の香典(不祝儀)を頂いた場合は、3000円~5000円程度の物を選べばよい……ということになります。

ただし、親族などから寄せられる香典(不祝儀)に関してはこの限りではありません。親族などから寄せられる香典(不祝儀)は、それ以外の人から寄せられるものに比べて非常に高額になる傾向にあります。

たとえば50000円や10万円……などといった高額が包まれることも珍しくありません。

これに対して3分の1~2分の1の金額の香典のお返し(香典返し)を用意するのはなかなか大変です。また香典(不祝儀)は相互扶助の精神に基づくものであるという考え方もあるため、香典のお返し(香典返し)にお金をかけすぎる必要もありません。

人それぞれで考え方には違いがありますが、一般的に、香典のお返し(香典返し)の上限額は15000円程度とされています。50000円の香典(不祝儀)を頂いても、25000円ほどの金額の香典のお返し(香典返し)を選ぶ必要はないのです。

<香典のお返し(香典返し)に選ぶべきものは「キエモノ」が基本>

香典のお返し(香典返し)にお贈りするものとしてはどのようなものがよいのでしょうか。

このときの考え方の基本となるのが、「消えるものを選ぶ」というものです。

お茶や海苔、洗剤などの「キエモノ」は、相手の好みに関わらず贈ることができます。「使い終わってしまえば(食べてしまえば)終わり」ということで、非常によく選ばれます。また特に洗剤は「悲しみを洗い流す」と解釈できるため、人気が高いといえます。小分けになっているものがよいでしょう。

なお「キエモノ」ではありませんが、ハンカチやタオルなど「日常で消費されるもの」もよく選ばれます。ハンカチならば冠婚葬祭に使用できる白くデザインがあっさりした物、タオルならば品質の良くシンプルなデザイン・色味の物がよく選ばれます。

現在人気を博しているものとしては、「カタログギフト」があります。カタログギフトは、渡された人が自分の好みの物をカタログのなかから選んで注文できるものであるため、相手の好みに合った物をうけとってもらえるのが大きなメリットです。また荷物にもならないため、冠婚葬祭のいずれの場面でも比較的よく選ばれるようになってきました。

なお、肉や魚などの生臭類は基本的には香典のお返し(香典返し)としては選びませんが、渡された側がカタログギフトのなかからこれを選ぶ分には問題ありません。

香典のお返し(香典返し)の品物としては、基本的には「金券」「お酒」は避けた方が良いとされます。

ただこれもケースバイケースです。少ないながらも、「もらったら絶対に使ってもらえるだろうから」という理由であえてビール券などを選ぶ人もいますし、「故人が好きなお酒だったから」と特定のお酒を選ぶケースもないわけではありません。一般的なマナーとしては避けられますが、小規模な葬儀であり、故人やご家族の強い希望があるのならば、「絶対に禁止である」といえるものでもありません。

<香典のお返し(香典返し)を行うタイミングは、後日かそれとも即日か?>

香典のお返し(香典返し)を行うタイミングについてもみていきましょう。

上でも解説した通り、香典のお返し(香典返し)は「頂いた金額の2分の1~3分の1」の金額の物で返すのが基本です。香典(不祝儀)を頂いた瞬間にその場で香典袋(不祝儀袋)を開封して金額を確認してそれに合った品物を渡す……ということはできませんから、必然的に、香典のお返し(香典返し)をお送りするのは葬儀後の「後日」ということになります。

香典のお返し(香典返し)を行うタイミングは、一般的に、「忌明け」の後とされます。

仏教の場合は四十九日法要後、神式の場合は五十日祭後、キリスト教の場合は昇天記念日(召天記念日。主に1か月後に行われるものを指す)後がもっとも適した時期でしょう。

この時期に挨拶状を添えて、香典のお返し(香典返し)をお渡しします。なお香典のお返し(香典返し)は、対面でお渡しするのがもっとも正式なやり方ですが、現在は郵送で送っても失礼にはなりません。

ただこれは、かなり手間のかかるやり方です。

そのため現在では「即日返し」と呼ばれる方法もとられるようになっています。

これは「通夜や葬儀の席において渡された香典(不祝儀)に対して、すぐにその場で香典のお返し(香典返し)をお渡しし、それで香典―香典返しのやりとりを終了した」とするやり方です。

この場合一律で3000円~5000円程度の香典のお返し(香典返し)をお渡しすることになります。

「特段深い付き合いではなかったけれど、職場でよくお世話になった」「近所の人」などの場合、包む香典(不祝儀)の金額は3000円~10000円程度が相場です。この金額帯の人に一律で返すことができるこの「即日返し」は、後日の香典のお返し(香典返し)の手間を省くために非常に有用です。

ただし、非常に大きな金額を包んでくれた人には、後日に改めて香典のお返し(香典返し)を行う必要があります。

表書きとしては「志」がよく選ばれます。黒白の結び切りの水引にこのように印字します。なお地域によっては「満中陰志」とすることもあります。ほかにも、「偲び草」「茶の子」「粗供養」などの表書きが選ばれることもあります。

<特定の条件下でなら香典のお返し(香典返し)は不要>

最後に、「香典のお返し(香典返し)を行わなくてもよいケース」についても見ていきましょう。

1.遺児の育成にあてたり、寄付したりする場合

「働き手が亡くなってしまい、小さなお子さんが残されて遺児の育成のためにお金が必要」などのケースでは、香典のお返し(香典返し)は不要とされています。

また、「故人の希望により、頂いた香典(不祝儀)はすべて寄付する」などの場合も、お返しは不要です。

2.相手から固辞された場合

「しばらくぶりに会った友人に、『かたちだけだからお返しは不要』として3000円の香典(不祝儀)を頂いた」などのような場合も、お返しは不要です。

相手が固辞した場合は、無理にお渡しすることは避けましょう。

3.会社関係

会社関係からの香典(不祝儀)の場合でも、福利厚生費などから出ていることもあり「お返しは不要」とされることもあります。場合によっては、仕事上の都合で受け取れないこともあります。

ただし上記の場合でも、挨拶状などは送るようにしたいものです。

香典のお返し(香典返し)は、寄せられたご厚意にお返しする行為です。マナーの基本を守って行いたいものですね。